没後40年 陶磁器デザイナー日根野作三 -人をつなぐデザイン 美濃の足跡-
日根野作三(ひねのさくぞう)は、戦後日本を代表する陶磁器デザイナーです。
明治40(1907)年、現在の三重県伊賀市に生まれ東京高等工芸学校(現 千葉大学工学部)で学んだ後、京都の国立陶磁器試験所などを経てデザイナーとしての才能を開花させます。戦後はフリーのデザイナーとして独立すると、三重県を拠点に愛知、岐阜、滋賀など多くの陶磁器産地でデザインの指導と普及に努めます。昭和59(1984)年に亡くなるまで、陶磁器デザインの先駆者として大きな足跡を残しました。
美濃の窯業界に多大な影響を与えた日根野の貴重な資料を、平成18(2006)年にご遺族から当館にご寄贈いただきました。そのなかには日根野と深い交流のあった知友や子弟の作品をはじめ、自身で制作した楽焼の茶碗、デザイン帳などがあります。特に食器、図案集など52冊に及ぶデザイン帳は各研究機関や組合、製陶所、個人などを指導するために制作されました。こうした膨大な資料から、日根野の目指した「多くの人に美しいものを届ける」デザインとは何かを改めて検証し、その教えを次世代につなぐ機会となれば幸いです。没後から40年経て、今なお輝きを失わない日根野のデザインの魅力をご覧ください。