協会からお知らせ

第43回 東海3県博物館協会交流会を開催しました。

お知らせ

今年度は、「ミュージアムレスキュー」と「小規模館の活動」という2つのテーマを設定して行いました。

第43回 東海3県博物館協会交流会

テーマ
岐阜県博物館協会会長若宮多門(若宮修古館館長)・西倉良介高山市副市長のあいさつに続いて、各テーマについて各県から発表、討議が行われました。
テーマ1 「ミュージアムレスキューの現状と今後」
  • 「ミュージアムレスキュー活動に向けての一歩~岐阜県博物館協会もの部会の事例から~」
     正村美里(岐阜県美術館 副館長兼学芸部長)
  • 「愛知県におけるミュージアムレスキューの現状と今後」
     古田浩俊(愛知県美術館 副館長)
  • 「三重県における自然災害時の博物館等によるネットワークの現状」
     間渕創(三重県総合博物館学芸員)
テーマ2 「小規模館だからこそできる取り組み」
  • 「小さな飛騨市の施設が持つ課題と解決への筋道」
     三好清超(飛騨市教育委員会)
  • 「鳳来寺山麓にある小さな博物館の55年」
     加藤貞亨(鳳来寺山自然科学博物館館長)
  • 「松阪市立歴史民俗資料館の取り組み~立地・地域特性を活かして~」
     杉山亜沙佳(松阪市立歴史民俗資料館学芸員)
  • 「小さいとこネットの活動とこれまでの経緯」
     高田みちよ(小規模ミュージアムネットワーク事務局、高槻市自然博物館あくあピア芥川主任学芸員)
概要
ミュージアムレスキューについて、東日本大震災を契機に意識が高まり、各地で体制作りが進められています。災害時の情報収集体制について、愛知県・三重県から報告がありました。愛知県では8つの地域ブロックを設定して情報を取りまとめ、三重県はみえ歴史ネットの構築と、三重県総合博物館のハブ化を進めています。また、レスキュー活動の物資・負担について、岐阜県では7月豪雨で被災した資料のレスキューを、関市文化財保護センターによる設備などの支援と博物館協会もの部会を中心とするボランティアで行った旨が報告されました。
小規模館の活動について、地域の博物館が市町村合併による市域の拡大によりどう変わったか対照的な報告がなされました。岐阜県飛騨みやがわ考古民俗館では旧宮川村をターゲットとし、愛知県鳳来寺山自然科学博物館では新城市全体を対象とした友の会活動を充実させています。一方、松阪市立歴史民俗資料館では、県外からの入館者が8割を超え、松阪城という立地を生かした活動が行われています。
今回は、3県の取り組みにくわえて外部からの視点での発表を盛り込み、小規模ミュージアムネットワークの活動について報告がなされました。年1回、「小さいとこサミット」をさまざまな館が持ち回りで開催し、開催館が設定する課題について討議が行われています。各館が抱える課題は様々ですが、その課題は地域の特性と深く関わっていることがうかがわれました。また、小規模館は予算・設備の問題を抱えていますが、小規模だからこそ小回りが利き、地域と関わった活動ができる利点もあります。このネットワークも、組織として参加することが難しい場合は学芸員が個人的に参加するなどして、動きやすさ、自由さを確保しています。全国的な動向やこれからの小規模館をふくめた博物館活動の原点を考えさせるような興味深い発表でした。

文責 長屋幸二(岐阜県博物館)